口腔科学(臨床)系

口腔外科学講座(口腔外科学分野・顎顔面外科学分野)

講座紹介

口腔外科学講座では、診療および教育を口腔外科学分野と顎顔面外科学分野が合同で行っている。外来診療では埋伏歯の抜歯処置をはじめとして嚢胞の摘出術等小手術を行うとともに、口腔粘膜疾患等に対する治療も行っている。病棟においては顎変形症に対する顎矯正手術、口腔腫瘍に対する腫瘍切除術および血管柄付き移植術による顎骨再建術等を中心に幅広く口腔外科手術を全身麻酔下に行っている。さらに、悪性腫瘍に対する化学療法や放射線治療を併用した集学的治療や睡眠障害に対する外科治療も積極的に行っている。講義および実習では、嚢胞や腫瘍等各種疾患の病態を理解して診断が行えるように学習するとともに、外科手術のみならず薬剤を用いた治療についても技術を習得する。また近年歯科領域においても有病者歯科治療等において、全身管理についての知識が重要視されていることから、全身管理についての理解と必要な手技習得にも積極的に取り組んでいる。

歯科麻酔学講座

講座紹介

歯科麻酔科の主な業務は、患者さんに安全かつ快適な歯科治療を提供するために、様々な方法を用いて、歯科治療中の全身管理を行うことです。具体的には、下記の麻酔法を用いてストレスを軽減しながら治療を行っています。

  1. 笑気ガスを用いる笑気吸入鎮静
  2. 点滴を確保して鎮静薬を投与する静脈内鎮静、静脈麻酔

また、顎変形症や口腔癌等に対する侵襲性の大きな外科手術では全身麻酔を行い、通常下での治療が困難な小児や障害者の歯科治療の日帰り全身麻酔も行っています。その他、病院内での患者の救急対応も行います。そのために、救急蘇生の病院内研修や指導も行っています。

当科は近年、女性の先生が増加しており、全体的に話しやすく、明るい雰囲気の医局です。さらに医科病院での麻酔研修にも積極的で、歯科麻酔の認定医・専門医取得も可能です。

歯科保存学第I講座

講座紹介

保存修復学とは、う蝕をはじめとする歯の硬組織疾患に対する検査、予防、診断、治療およびメインナンスに関して、その学識と技術を体系化した学問分野です。さらに、う蝕のみならず、歯の形態異常、変色あるいは破折などに対しても形態、機能および審美性の回復までもその範疇としています。

学習内容としては、3年生に行われる保存修復学において、う蝕治療をはじめとする硬組織疾患に対する治療法の講義と実習を担当しています。前期は総論と間接修復を、後期は成形修復を中心とした直接修復法です。前・後期を通して学習することで、基本的診療態度および臨床技能について理解、修得することを目的としています。5年生に行われる臨床実習ではPOS型医療の意義を理解した上で、患者との良好な関係のもとでクリニカルパスウェイにおける基本的臨床技能の中からコンポジットレジン修復を行うことを通して、う蝕治療の基本的手技を習得します。

歯科保存学第II講座

講座紹介

歯科保存学第Ⅱ講座では歯内療法学に関連した教育・臨床・研究を行っています。歯内療法学とは、むし歯が原因で生じる2大疾患である歯髄炎(歯の神経の炎症)と根尖性歯周炎(歯の根の先端付近に生じたあごの骨の炎症)をターゲットとした学問です。

「歯がズキズキする」「歯が痛くて噛めない」「歯ぐきが腫れて痛い」といった症状を訴える患者さんは、「眠れない」「食事ができない」など、QOLが著しく下がっているため、一刻も早く問題を解決させなければなりません。これらの疾患は、歯の中の神経(歯髄)を取ったり、根の治療(根管治療)を行ったりすることで治癒しますが、中には治療を行っても治癒せず難治化し、抜歯となるケースも少なくありません。当講座では、このような症例に対してマイクロスコープや歯科用CTを駆使し、可能な限り歯の保存を図っています。

4年生時(新カリキュラムでは3年生時)の前期で歯内療法学の基本を講義で学び、歯髄保存療法を実習で実践します。後期では歯髄除去療法、感染根管治療およびアドバンスト歯内療法学を講義や実習で学修します。5年生時の病院実習では、ニッケルチタンファイルやマイクロスコープなどの最新技術を応用した治療の実際を学びつつ、必修症例などの自験を通じ、歯内療法学の臨床的手技が修得可能です。

このように、当講座ではベーシックとアドバンスト歯内療法を徹底的に教育・指導します。

歯科保存学第III講座

講座紹介

準備中です

歯科補綴学第I講座

講座紹介

総義歯補綴学とは?

読めましたか?「そうぎしほてつがく」と読みます。
「補綴」は歯の無い所を補うことですから「総入れ歯の専門」といいましょうか。特に高齢化社会では高齢者の生活向上には欠くことのできない学問です。
歯が無いと物が食べにくくなり、息が漏れて話すのにも苦労します。また口元の表情も変化して見た目より歳をとって見えます。これらを改善し、口の機能を回復するための「人工臓器」が義歯なのです。
総義歯補綴学(もう読めますね)とは、そのための高度な技術と理論を研究・実践する学問です。

学習内容

歯学部第3~6学年学生に対し、講義と実習を行っています。
第4学年では模型を用いて義歯を作製する基礎実習を、第5・6学年にかけては臨床実習を行い、診療操作や手技の理解、向上を図ります。
臨床では、高齢者の口腔ケアおよび社会福祉活動にも積極的に参加する一方、総義歯治療だけでなく補綴治療全般にわたり、口腔内全体の診療を行っています。

歯科補綴学第II講座

講座紹介

当講座は欠損補綴治療の中でも部分床義歯を専門とし、加えてインプラントや磁性アタッチメントを使用した可撤性義歯、通常のインプラント固定性補綴を行っています。さらに、交通外傷や悪性新生物による顎欠損患者への顎顔面補綴やアスリートの外傷予防を目的としたスポーツ歯科など、幅広い分野の補綴臨床を行い患者のQOL向上に貢献しています。

卒前教育では部分床義歯学・インプラント補綴学・スポーツ歯科学を担当しています。部分床義歯学は患者ごとのニーズに適した治療計画・治療技術が必要になるため、学生にとっては知識や技術の共有が難しい学問です。座学に加えて模型実習や臨床実習を通して、歯科医師になってからも臨床現場で活躍できるだけの応用力や技術力を育むことを目標にしています。

研究内容は部分欠損補綴治療(有床義歯補綴・インプラント・顎顔面補綴)を対象とした包括的かつ多方面の研究に加え、成熟脂肪細胞を用いた歯周組織(軟・硬組織)再生に関する研究を行っています。

当講座は医局員の仲が良く、話しやすくて明るい雰囲気で知られています。また、補綴歯科学会、口腔インプラント学会、スポーツ歯科医学会、顎顔面補綴歯科学会の認定医・専門医取得にも積極的に取り組んでいます。

歯科補綴学第III講座

講座紹介

補綴(ほてつ)とは、歯や顎(あご)の一部あるいは全部が失われた場合に、被せ物(クラウン・ブリッジ)、入れ歯(義歯)やインプラントなどの人工物で補う治療です。歯科補綴学第Ⅲ講座では、歯を失うことにより発音・咀嚼といった機能および審美などの口腔内の疾患に対し、主に固定性補綴装置であるクラウン・ブリッジ(取り外ししない被せ物)を用いて修復に関する教育・研究・臨床を行っています。

教育

当講座では三年後期にクラウン、四年にブリッジについて、支台歯形成(歯を削る練習)からクラウンおよびブリッジの装着に至るまでの固定性補綴装置による治療の流れや歯冠補綴学の概要、歯科補綴学用語の基礎知識について講義と実習を行い、理解することを学修目標としています。

研究

各種歯科用セラミック材料(ジルコニアなど)とレジン系装着材料との接着強さに関する研究、セラミック材料と各種前装用材料との接着強さに関する研究、インプラント支持セラミック補綴装置の破壊強度に関する研究、セラミック補綴装置の適合に関する研究など、補綴治療に関して、臨床に即した知見が得られるような研究を行っています。

臨床

日本大学歯学部付属歯科病院のクラウン・ブリッジ科として、補綴治療を中心に行っています。関連する分野(日本補綴歯科学会、日本接着歯学会、日本口腔インプラント学会、日本歯科審美学会、日本デジタル歯科学会など)の指導医・専門医・認定医が在籍しており、質の高い医療を実施しています。また、デジタルデンティストリーの普及に伴い、当科でも口腔内スキャナーをはじめとしたデジタル技術を生かした臨床に積極的に取り組んでいます。

歯科矯正学講座

講座紹介

歯科矯正学は、歯・顎顔面の成長発育とそれに伴う顎の異常や不正な咬合を研究し、このような異常や不正を改善あるいは予防することで、顎口腔機能の向上と顔貌の改善をはかる歯科学で、広い領域を有する学問です。また、外科的処置が多い歯科治療の中で、歯科矯正治療は外科的処置を行うことなく患者の歯を移動し、歯列を正常に再構築できる唯一の治療です。
歯学部では、不正咬合がもたらす障害やその予防、改善を目的とする歯科矯正治療の重要性を講義で理解したうえで、治療の実際を基礎実習で学び、さらに患者の治療を通してその応用を臨床実習で習得します。
卒業後の矯正学講座では、歯科矯正学の専門知識、技術のみならず豊かな人間性と倫理観を有した歯科矯正医を輩出するため、学会認定医、指導医、専門医資格を有する矯正医が講座員の基本研修や臨床研修を指導しております。一定期間内に講座員全員に歯科矯正認定医資格を取得させることを目標に指導しております。また、定期的な症例報告会、勉強会、抄読会等により、知識や技術の研鑽を積んでおります。
研究では、分子生物学的、組織学的手法を用いた基礎研究、矯正装置や材料の力学的研究、また治療に係わる臨床的研究を進めております。

小児歯科学講座

講座紹介

小児期の口腔では、乳歯の萌出と脱落、それに続く永久歯の萌出というダイナミックな変化がみられます。歯の交換はいつも順調に進むとは限らず、幼児期にきれいな歯並びをしていても、乳歯から永久歯へと変化するうちに、見た目に明らかな歯列不正の状態に変わってしまうことがしばしばあります。小児歯科では個々の患者さんについて歯並びの異常の原因について分析したうえで、保護者に長期的な治療の見通しを説明し、理解していただいてから治療を開始しています。

小児期の口腔にみられる疾患は、歯並びや噛み合わせの異常以外にも、むし歯、歯の数の異常、歯ぐきや粘膜の異常、外傷、囊胞、腫瘍など多岐にわたっています。成人に対して普通に行われている治療法であっても、小児期には適用できないものもあります。小児歯科学講座では小児歯科の専門医を目指す若手歯科医師に研修の場を提供するとともに、最新の治療法の開発や導入、ならびに普及に取り組んでいます。

歯科放射線学講座

講座紹介

本講座では、顎顔面頸部領域の画像検査とその診断を行っています。これには、標準的な口内法やパノラマX線撮影装置の他、全身用CTや歯科用コーンビームCT、MRI、超音波断層装置などの機器を駆使し、歯や顎骨だけではなく、関連する軟組織についても詳細な診断を行っています。

本講座は、国内でもっとも歴史のある歯科放射線学講座です。この間、パノラマX線装置の開発や世界初の歯科用コーンビーム装置を世に送り出してきました。またin vivo micro-CTを開発し、様々な小動物実験に用いられています。

教育においては、歯科放射線学の物理から基本的な画像診断までを学び、また実習を通して、基本的撮影法の習得や画像診断を学びます。第5学年では院内実習を通して、さらに様々な特殊撮影装置や症例について教育を行います。

このように本講座は、診療放射線技師および教員が協力し合い、臨床・教育・研究を通して、正確な画像診断の知識や質の高い歯科医療人の育成を目指しています。

口腔内科学講座

講座紹介

当講座は、日本大学歯学部の前身である東洋歯科医学専門学校の開校の時から行われていた、歯科学生に対する初診患者の診査診断の教育を受け継ぐ講座です。昭和48年に附属歯科病院に杉浦助教授を長として口腔診断科が開設され、平成15年度より今村佳樹教授のもと大学院設置講座(口腔診断学講座)として発展しました。近年、欧米でOral medicine(口腔内科学)という学問が確立・着目されていることから、令和4年度より野間昇教授のもと講座名を口腔内科学講座と改称し、心機一転、臨床・研究・教育に取り組んでいます。

当講座では、患者さんの病態を全身疾患を考慮した上で正しく診断できる歯科医師の育成と、口腔領域の難治性特殊疾患(粘膜疾患、慢性疼痛疾患、心身歯科疾患等)に対する知識を持った専門医を育成することを目指し、そのための研究、臨床を行っています。

歯学部学生教育では、臨床前教育と臨床実習を介して、歯科医師としての初診の患者さんに対する対応から、患者さんが抱え持っている問題点の診査・診断、初期治療方針の計画立案までを指導します。また、卒後教育としては、歯科疾患と全身疾患の関係、心身歯科医学に加え、粘膜疾患や慢性疼痛に対する口腔内科的アプローチを学びます。

当講座では、口腔疾患を全身の中の問題としてとらえるための教育、研究、臨床を目指します。

摂食機能療法学講座

講座紹介

超高齢社会において、疾患や手術の後遺症で、点滴や経管栄養となっている、あるいは生まれながらにして先天的に障害をもっているために、口から食事ができずに過ごしている方の人口は増加の一途をたどっています。本来、医療は命を救うことで、その責務を果たしていました。しかし、命が永らえさえすればよいという時代ではなくなりました。いかに生きるか、生きる質が問われるようになりました。そこで、摂食機能療法科は『Whole body(身体全体)を一単位として、口から食べる機能の回復を支援する』診療科です。診療は主に外来診療、訪問診療(病院、施設、居宅など)、日本大学病院の入院診療(救命病棟、一般病棟)に分けられ、対象患者は脳血管疾患、癌、心疾患、パーキンソン病、認知症、骨関節疾患、神経筋疾患など多岐にわたります。人生90年!最後まで人間らしくいきるために、当科は一般歯科治療のみならず、口から食べるためのリハビリテーション(摂食嚥下リハビリテーション)を多職種と連携しながら行っています。