多彩な進路

日本大学歯学部を卒業後、地域で開業医として診療に従事する者、研究・教育者の道へ進む者や、大学病院などで専門性を磨く者がいます。行政に従事する歯科医師もおり、卒業後の道は広く開かれています。

開業医

先輩・後輩・同級生の絆に支えられ
歯科矯正医として地域に貢献

2005年卒業
一番町矯正歯科DENTAL CLINIC 副院長
鈴木 里奈さん

中高時代から、ついつい友人の歯を観察してしまうタイプだった私。科学的な事や手先を使う事も好きでしたので、歯科医師は適職ではないか?と考えるようになりました。本学部は医学的歯学という理念の元に、伝統ある歯学教育を行っており、科学的に視野の広い歯科医師を育成されている点に惹かれ、進学いたしました。両親は歯科医師ではなく、歯科業界について知らない事ばかりだったのですが、本学の強い絆に支えられ、充実した学生生活を送る事ができました。
卒後は13年間本学部にて臨床・研究・教育に従事しましたが、歯科矯正科医として地域に貢献して行きたいと思い、開業する道を選びました。自身も子育てをしながら、治療を通じて地域の子供達の成長も見守る日々です。当院は歯科矯正専門医院ですが、先輩・後輩・同級生と連携を取り合って、総合的な歯科治療に取り組む事ができており、日本大学歯学部同窓の絆には大変感謝しております。

多くのことを学んだ学生生活から
医療人としての心構えを身につける

2006年卒業
ダイヤビル歯科 院長
内藤 浩司さん

開業医として歯科のみならず、広く地域貢献をしていた父の背中を見て、歯科医師を目指しました。父の母校である日本大学歯学部に進学し、卒業後本校の臨床系の大学院へと進学、現在医院を継承しております。学生生活において特に記憶に残っていることは、実習と部活動です。とにかく実習が多く大変でしたが、得られるものは多かったですし、医療従事者としての心構えを身につけることができたと確信しています。病院実習では実際の臨床を目の当たりにし、一口腔一単位という意味を深く理解できたと思います。
また、日本大学歯学部は部活動にも力を入れており、その流れもありサッカー部に所属しました。部活動では生涯にわたる仲間や恩師との出会いがあり、非常に濃い時間を過ごすことができました。皆さんも濃く実りの多い大学生活を謳歌して、生涯の仲間を見つけてください。

研究者

日本大学歯学部で学んだことを糧に
世界最先端の医学研究に挑戦する

2003年卒業
大阪大学医学系研究科感染症・免疫学講座 教授
理化学研究所生命医学研究所 チームリーダー
茂呂 和世さん

親が歯科医師だという理由で歯学部に進学する人は多いのですが、私もそんな安易な理由で歯学部を選びました。国家試験の勉強をしているときに出会った、たった1問の試験問題から、免疫学って面白いかも!と思い、大学院は慶應義塾大学の医学系研究科に進学しました。基礎系大学院への進学は、人生で初めてやりたいことを自分で決めた瞬間だったと思います。大学院の時に発見したリンパ球の研究をするために、現在は大阪大学医学系研究科と理化学研究所でアレルギー、肺線維症、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症などさまざまな病気の研究を行っています。歯科という特殊な分野で学んだからこそ、人とは異なる目線で研究にアプローチできることもあります。日本大学歯学部が誇るコミュニケーション力も国内外の研究者との交流にとても活かされています。歯学部を卒業したら必ず歯科医師にならなくてはいけないわけではないので、研究に興味がある方にもおすすめの進路です。

勤務医

「面白そう」がスタート地点
やりたいことをやってみる

2012年卒業
聖隷沼津病院 歯科口腔外科医長
田中 里枝さん

歯科と無縁な家庭に育った私は、人と関わることが好きという理由で、歯学の道を志しました。学生時代は新幹線で通学し、個性豊かで人情味溢れる同級生に支えられ、毎日勉強や部活をしていました。臨床実習の時、口腔外科が面白いと刺激を受け、卒業後、浜松医科大学医学部附属病院歯科口腔外科で研修し、近畿大学奈良病院歯科口腔外科で学び、今の職場で働いています。当科は歯科医師、歯科衛生士すべて女性です。仕事と家庭を両立しながら働いています。今後も歯科領域を超えた知識を深めたいと思います。一生勉強は続きます。
学生時代、先生方には大変お世話になり大学で学んだ知識は卒業しても色褪せることはありません。皆さんには時にさまざまな壁にぶつかり簡単に解決できないこともあるでしょう。まずは「面白そう」から行動を起こし、性別で仕事の選択肢を狭めず、常に挑戦する気持ちを忘れず頑張ってください。

勇気と誇りを持ってすばらしい歯科医師になっていただきたい

順天堂大学医学部附属
順天堂医院
歯科・口腔外科 准教授
篠原 光代さん

卒業して10年間は、日本大学歯学部の口腔外科に在籍し、臨床、研究の両方に携わりました。手術や学位研究などでハードな毎日でしたが、歯科医師としての知識や技術の研鑽を積むうえで充実した日々でした。この時期は、娘を持つ母としても忙しく、何度も挫けそうになりましたが、上司や同僚などの周囲の温かい支えもあり仕事を続けることができたことは大変感謝しています。

現在は、一般歯科、口腔外科、小児歯科、インプラントや顎関節症などの専門外来など歯科全般の治療を行っています。大学病院の歯科口腔外科は全身疾患を有する患者さんが多く、治療に際してはさまざまな病態の知識や全身状態の把握が必要であり、他科との連携を密に行っております。そして歯学部創設者の佐藤運雄先生の「歯学を全身との関連において組織的に学ぶこと」の教えを念頭に置き、日々治療にあたっています。口腔の健康を守ることは全身の健康を守ることにつながっています。歯科医師は患者さんの日常生活に関わりが深い、大変やりがいのある職業であると感じています。

これから入学してくる皆さんもぜひ勇気と誇りを持ってすばらしい歯科医師になっていただきたいと思います。