学部長挨拶
「お口の働きから国民を健康に!」
その強い信念を持った歯科医師を育成
- 歯学部長
- 飯沼 利光
日本大学歯学部は、大正5年、佐藤運雄(さとうかずお)博士が創立した東洋歯科医学校を前身とし、その後1921年(大正10年)に日本大学と合併しました。当時の日本の歯学は、基礎医学の知識に乏しく技術偏重であったため、佐藤博士は、当時としては極めて先駆的な「医学的歯学」の教育理念、すなわち、歯学を単に口腔や歯だけにとどめず、全身との関連において組織的に学ぶことの重要性を強調しました。この理念は、現在、日本の歯科教育の基本となっています。一方、日本大学は創設130周年を迎えた日本最大の総合大学です。その教育の柱は、日本大学教育憲章にもあるように「日本大学マインド」として「日本の特質を理解し伝える力」、「多様な価値を受容し、自己の立場・役割を認識する力」、「社会に貢献する姿勢」の三つを掲げ、そのマインドを備えていくために「自ら学ぶ」、「自ら考える」、「自ら道をひらく」という「自主創造」の三要素を身につけた学生を育成することです。今まさに、社会の価値観が複雑かつ多様化する状況の中で、歯科医師に求められる活躍の場は、これまで想像されていなかった様々な領域まで拡大しており、そのような場で活躍するには、どのような苦境の中でも決して志を失うことなく、難問解決のための様々なアイデアや技術を発案、提供し、その活用方法を社会に向け広く発信する能力が求められています。つまり「自主創造」を身につけた歯科医師の育成こそが日本大学歯学部の大きな使命であると確信しています。そのためには、6年一貫のカリキュラムによる倫理観・医療安全の順守、チーム医療、地域包括ケアシステム、健康長寿社会などの多様なニーズに対応できる実践的臨床能力を育成するための教育に加えて、日本大学の1学部として本学部が有する総合大学のスケールメリットを活かした、より人間性豊かな人材育成が必要です。このためすでに、日本大学全学共通初年次教育科目として「自主創造の基礎」が行われており、初年次1万5000人を超える学生が一つの授業を受けました。もちろん歯学部は先駆けてこれを取り入れており、学生の皆さんに新たな学びの場を提供しています。
皆さん、超高齢社会を迎えた日本の将来を考えると、健康寿命延伸のため歯科医療の果たすべき役割は益々その重要度を増すでしょう。それにはこれまでの既成概念を超えた新たな発想が必要となります。総合大学である日本大学で歯科医学を学び、歯科医療を通して国民の健康長寿に共に貢献して行きましょう。そのような強い意欲のある皆さんの入学を心から歓迎します。