教育方針

ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)

日本大学教育憲章では「日本大学マインド」として「日本の特質を理解し伝える力」「多様な価値を受容し、自己の立場・役割を認識する力」「社会に貢献する姿勢」の3つを掲げています。日本大学歯学部は、「自ら学ぶ」「自ら考える」「自ら道をひらく」からなる日本大学の教育理念「自主創造」を基盤として日本大学マインドを有する医療人を育成します。すなわち、全学の学位授与の方針及び歯学部の教育目的に鑑み、以下の能力を身につけ、所定の単位を修得した学生の卒業を認定し、学位(学士)を授与します。

DP1 歯科医師としての責務を理解し、患者中心の歯科医療に必要な倫理観をもって医療を実践することができる能力
DP2 世界の歯科医療の現状を理解し、異なる価値観をもつ人と積極的にかかわり共生・協働できる能力
DP3 生涯にわたってリサーチマインドを持ち続けるための基礎となる、論理的・批判的に思考することができる能力
DP4 医歯一元論に基づく歯科医学、ならびに自然科学、人文科学の知識を有し、必要に応じて、臨床・教育・研究に応用することができる能力
DP5 自主創造の基本理念に則り、最新の科学的根拠に基づく安全で効果的な患者中心の歯科医療を実践することができる能力
DP6 患者・患者家族・医療従事者の立場を理解、尊重し、適切なコミュニケーションをもって医療を実施することができる能力
DP7 歯科保健・医療・福祉・介護の現状を理解し、多職種と連携しながら地域医療に貢献することができる能力
DP8 生涯にわたって自己研鑽に取り組むための基礎となる、自己を謙虚に見つめ、振り返ることができる能力

カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)

日本大学歯学部は、ディプロマ・ポリシーに示した能力を備えた歯科医師を育成するために、以下の教育課程(カリキュラム)を編成し、実施します。

1.カリキュラム編成

歯学部のカリキュラムでは、ディプロマ・ポリシーの達成に必要となる教養科目、専門科目及びその他の科目を系統的、統合的、段階的に配置しています。すなわち、10 のコース「歯科医学を学ぶための基礎」「歯科医師として求められる基本的な資質」「社会と歯学」「診察の基本」「全身管理」「口腔と顎顔面疾患の治療」「歯と歯周組織の治療」「歯質と歯の欠損治療」「小児歯科・矯正歯科治療」「スペシャルニーズデンティストリー」に含まれる科目群を3つのフェーズに分けて配置し(フェーズ1:第1・2学年、フェーズ2:第3・4学年、フェーズ3:第5・6学年)、それぞれにマイルストーンを設けて、学生が主体的に学修できる螺旋型カリキュラムを編成しています。

2.学修内容及び学修方法

フェーズ1(第1・2学年)は教養科目及び基礎歯学の科目が配置されており、各科目の目的・目標に応じた方法で教育を実施します。第1学年前期では、歯学部での学修に必要な基礎的知識を講義と実習により確認しながら主体的な学修の定着を図るとともに、問題基盤型学修(Problem-Based Learning:PBL)で論理的な思考能力及び問題解決能力を育成します。また、第1学年後期に行われる歯科臨床早期見学実習では、医療人としての自覚と態度を涵養するとともに、歯学部で学修する内容と医療現場との関連性についての理解を深めます。第1学年後期から第2学年では、基礎歯学の科目を中心に講義と実習を行うことにより、臨床歯学を学ぶための基盤を形成します。フェーズ2(第3・4学年)は、主に臨床歯学の科目が配置されており、講義と臨床基礎実習を行うことにより基礎歯学を含めて知識と技能を統合させます。また、より専門性を高めた形でPBL やシミュレーション実習を実施することにより、臨床における問題解決能力の基礎を育成します。フェーズ3(第5・6学年)では、診療参加型臨床実習において、Student Dentist として患者に対する診療を担当することにより歯科臨床能力を育成します。また、基礎系科目と臨床系科目を統合した総括講義を実施します。さらに、6年間の教育プログラムを通して医療人の基礎となるコミュニケーション能力、倫理観、プロフェッショナリズムに関する教育を実施します。

コンピテンス・コンピテンシー(卒業時に修得しておくべき臨床能力)

日本大学歯学部では、次のとおり学生が卒業時に修得すべき主要な能力を8つのコンピテンスとして設定し、各コンピテンスには、それぞれ具体的な到達目標がコンピテンシー(観察可能な能力)として42項目設定されています。

  1. 歯科医師としてのプロフェッショナリズム(対応する日本大学教育憲章:豊かな知識・教養に基づく高い倫理観)
    歯科医師としての責務を理解し、患者中心の歯科医療に必要な倫理観を有する。
    1. 社会規範を理解し行動できる。
    2. 歯科医師としての責務を理解し行動できる。
    3. 歯科医師法及び関連法規・規範を遵守する。
    4. 患者の立場や価値観を尊重し、公正な医療を提供する。
  2. グローバルマインド(対応する日本大学教育憲章:世界の現状を理解し、説明する力)
    世界の歯科医療の現状を理解し、異なる価値観をもつ人と積極的にかかわり共生・協働できる。
    1. 世界の医療情報を収集し理解・説明できる。
    2. 国際社会で活躍できる言語能力を身につける。
  3. リサーチマインド(対応する日本大学教育憲章:論理的・批判的思考力)
    歯科医学・医療に必要な情報を論理的・批判的に思考し、生涯を通じてリサーチマインドを持ち続けることができる。
    1. 歯科医学・医療に関わる研究の重要性を理解できる。
    2. 歯科医学・医療に関わる科学的情報を適切に収集できる。
    3. IT等も利用し情報を論理的・客観的・批判的に思考・分析できる。
    4. 知識と技能をアップデートすることができる。
  4. 歯科医学及び関連領域の知識(対応する日本大学教育憲章:問題発見・解決力)
    医歯一元論に基づく歯科医学、ならびに自然科学、人文科学の知識を身につけ、臨床、教育、研究に幅広く応用できる。
    1. 歯科医学を学ぶ上で必要な自然科学・人文科学の素養を身につける。
    2. 人体の発生、発達、成長、老化と死を説明できる。
    3. 人体の正常な構造と機能を説明できる。
    4. 疾病の発症メカニズムと病態を説明できる。
    5. 口腔・顎顔面領域の疾患の診断と治療を説明できる。
    6. 歯科医療に必要な材料、機器、ならびに薬物の特性と適切な取り扱い方法を説明できる。
    7. 疾病予防と健康増進について説明できる。
    8. 医療安全を説明できる。
    9. 社会保障制度について説明できる。
    10. 最新テクノロジーの医療への応用を説明できる。
  5. 自主創造の基本理念に則り、最新の科学的根拠に基づく安全で効果的な患者中心の歯科医療を実践できる。
    1. 患者やその家族に対して思いやりと敬意を示し、医療面接を適切に実施できる。
    2. 必要な診察と検査を選択し実施できる。
    3. 医療面接、診察及び検査結果に基づいて診断し、包括的な治療計画を立案できる。
    4. 患者やその家族に診断結果と治療計画を説明し、治療の同意を得ることができる。
    5. 高頻度治療の基本的臨床手技を実施できる。
    6. 適切な歯科保健指導を行い、患者の健康増進に貢献できる。
    7. 小児、高齢者、障害者、基礎疾患を有する者の身体、心理、社会的特性を理解し適切に対応できる。
    8. 診療録など歯科医療に必要な文書を適切に作成、管理ができる。
    9. 医療安全管理の基本概念と標準予防策を理解し、患者及び医療従事者にとって良質かつ安全な医療を提供できる。
    10. チーム医療、地域医療及び国際医療を理解し、携わることができる。
  6. コミュニケーション(対応する日本大学教育憲章:コミュニケーション力)
    他者を理解し、お互いの立場を尊重した人間関係を構築して、歯科医療の場で適切にコミュニケーションをとることができる。
    1. 患者と患者家族の立場を理解・尊重し、信頼関係を構築できる。
    2. 患者と患者家族に自分の考えを適切に伝えることができる。
    3. 医療従事者の立場を理解・尊重し、信頼関係を構築できる。
    4. 医療従事者に自分の考えを適切に伝えることができる。
  7. 地域社会への貢献(対応する日本大学教育憲章:リーダーシップ・協働力)
    コミュニティの歯科保健・医療・福祉・介護の現状を理解し、多職種と連携しながら地域医療に貢献する準備ができる。
    1. 歯科保健・医療・福祉・介護の現状と課題を説明できる。
    2. 歯科保健・医療・福祉・介護に関わる多職種の役割と制度を説明できる。
    3. 多職種連携における歯科医師の果たす役割を理解し、チーム医療と地域医療に携わることができる。
    4. 災害医療について説明できる。
  8. 生涯学習(対応する日本大学教育憲章:省察力)
    歯科医師としての責任と倫理を有し、謙虚に自己を見つめ、振り返りを通じて自己を高め続けることができる。
    1. 口腔にとどまらず全身を見据えた新しい知識や技術を学修する必要性を理解できる。
    2. 患者中心の医療を実践するために知識、技能、態度を常に振り返り、それらを高め続けることができる。
    3. 患者に提供する医療の質を評価し、必要に応じて改善できる。
    4. 歯科医師としての責務を全うする能力を身につける。

アセスメント・ポリシー3つのポリシーの達成状況、学修成果の評価指標

日本大学歯学部は、学生の学修成果の達成状況を、アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー及びディプロマ・ポリシーの3つのポリシーに照らして検証します。検証結果は、日本大学歯学部の現状把握と教育改革・改善ならびに学生への学修支援に活用します。

1.教育課程(学部)のアセスメント・ポリシー

  1. 日本大学歯学部が求める知識・技能及び態度が身についているか、それぞれに適した方法で多面的かつ総合的に検証・評価します。
  2. Student Dentist として患者診療を担当できる能力が身についているか、歯学系共用試験であるCBT(Computer Based Testing)及びPre-CC OSCE(Pre-Clinical Clerkship Objective Structured Clinical Examination)を用いて総合的に検証・評価します。
  3. 臨床研修開始時に必要な臨床能力が身についているか、歯学系診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験(Post-CC PX:Post-Clinical Clerkship Performance Examination)を用いて総合的に検証・評価します。
  4. ディプロマ・ポリシーに掲げた能力が身についているか、成績評価、単位修得状況及び卒業要件達成状況等を用いて多面的かつ総合的に検証します。

2.科目ごとのアセスメント・ポリシー

シラバスで提示された学修目標に対する評価や学生授業評価等の結果から、科目ごとの学修成果の達成状況を検証します。なお、科目の成績評価は、筆記試験、口頭試験、実技試験、レポート、ポートフォリオ、観察記録及びルーブリックなど、科目の特性や到達目標などを踏まえて、教員がシラバスに明示した方法に沿って行います。

3.各ポリシーの検証方法

入学前・入学直後 在学中 卒業時・卒業後
教育課程
レベル
アドミッション・ポリシーを
満たす人材かどうかの検証
カリキュラム・ポリシーに則って
学修が進められているかの検証
ディプロマ・ポリシーを満たす
人材になったかの検証
  • 各種入学試験
  • 入学前準備教育
  • 各科目の成績
    (成績評価点・GPA)
  • 総括試験1・2の成績
  • 振り返り
    講義試験の成績
  • 修得単位
  • CBT・Pre-CC OSCE
  • Post-CC PX
  • アセスメントテスト
  • 学生授業評価
    アンケート
  • 退学率、休学率
  • 総括試験3の成績
  • 修得単位
  • 歯科医師国家試験
  • 卒業生アンケート
  • 学位授与率
  • 修業年数
科目レベル
  • 各科目の成績(評価点)
  • 学生授業評価
    アンケート
  • パフォーマンス
    評価

4.ディプロマ・ポリシーに関する具体的な評価方法

評価方法 対象者 実施時期 対応するディプロマ・ポリシー
DP1 DP2 DP3 DP4 DP5 DP6 DP7 DP8
教育課程レベル 歯科医師
国家試験
合格率
第6学年 卒業時
学位授与率 第6学年 卒業時
Post-CC PX 第5学年 臨床実習
終了時
CBT 第4学年 第4学年
終了時
Pre-CC OSCE 第4学年 第4学年
終了時
アセスメント
テスト
第1~6学年 第1学年:
入学時
第2~6学年:
4月
総括試験の成績 第4・5・6学年 第4学年:
年度末
第5・6学年:
通年
振り返り講義
試験の成績
第2・3・4学年 学期末
各科目の成績 全学年 年度末
授業評価
アンケート
全学年 学期末
科目
レベル
各科目の成績 全学年 年度末
授業評価
アンケート
全学年 学期末

アドミッション・ポリシー(入学者の受け入れに関する方針)

本学部では基礎学力があり、健康で多様性に富んだ資質を兼ね備えた人を求めています。学生同士が「切磋琢磨」して自己を認め合い、高め合うことで、歯科医療に求められるプロフェッショナルをともに目指す意欲の高い人材の育成を行います。

AP1 自主創造の気風に賛同し自己研鑽できる人
AP2 医療人となる目的意識と高い倫理観をもつ人
AP3 自己の目標を実現する挑戦力を持ち努力する人
AP4 生涯にわたり学習意欲を持続し社会に貢献する姿勢をもつ人