歯学研究科の沿革と現況
日本大学大学院歯学研究科は、歯科医学の研究活動に必要な高度の研究能力及びその基盤となる豊かな学識とともに、歯科医学の学術発展に寄与しうる研究を指導する能力を養うことを目的とし、昭和31年4月に私立歯科大学の中で最初に開設され、「歯科基礎系」と「歯科臨床系」の2専攻で発足した。しかしながら、近年の社会情勢の変化や学問の高等化に組織改組を検討する必要が生じ、平成17年度から2専攻を「歯学専攻」の1専攻に統一し、その中に基礎系と臨床系が共同研究を推進しうる新たな枠組の3つの分野(口腔構造機能学分野、応用口腔科学分野、口腔健康科学分野)を配置した。
歯科医学教育改革に伴い、平成18年度から歯科医師の初期研修としてプライマリー・ケアのレベル向上を教育目標とした歯科臨床研修制度が確立された。臨床研修に求められているのは、事実に基づいた歯科医療(Evidence Based Dentistry:EBD)であり、この科学的に根拠のある事実から診断や治療方針を決定していくことが必要とされている。昨今のEBD意識の高まりによって、臨床に携わっている歯科医師自身に広く臨床研修に参加する道を開放していく必要が生じている。また、継続した高度専門知識への探求心を啓発していくことが肝要である。そこで、本研究科では、従来の一般入試に加え、平成19年度から社会人として働きながら大学院に学び、臨床研究を進めていくスキルを向上させることが重要となるので、大学院設置基準第14条による教育方法の特例を実施して、社会人入試を行うこととした。
また、学位審査には、研究を高度化するためにインパクトファクターのある国際水準の専門誌等に筆頭著者として受理された1編以上の論文を基幹とした学位論文を提出するよう勧めている。
なお、優れた研究を行った者には、選考の上、本学部独自の佐藤研究奨学金が給付され、海外学会での研究発表や日本大学大学院海外派遣奨学生として海外留学の機会が与えられている。
現在までに歯学研究科において学位(博士)を取得した者は1,623名である。