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口腔構造機能学分野

この分野は、顎顔面口腔領域を中心に、当該分野の構造、機能、外科的侵襲、全身管理、歯列、咬合の矯正などについて、専門分野のみならず境界領域の研究をも推進することが可能となっています。

解剖学

分野紹介

生体組織を構成する細胞は絶えず古いものから新しいものへ置き換えられ、組織全体の構造と機能を維持しています。骨においても古い骨を溶かして壊す破骨細胞と、カルシウムを使って新しい骨を作る骨芽細胞によって骨代謝が行われることで健康な骨組織が維持されています。一方で、老化に伴い骨代謝のバランスが崩れると骨粗鬆症や変形性関節症などの骨病変を引き起こします。解剖学第Ⅰ講座では、骨病変のメカニズムを明らかにすることを目的として、細胞生物学的手法を用いた骨や軟骨形成に関する研究を行っております。ステロイドホルモンであるグルココルチコイドは抗炎症剤として用いられますが、一方で成長期の骨の成長を抑制し、成体では骨粗鬆症を引き起こすことが問題視されています。グルココルチコイドが、骨や軟骨形成に関与する遺伝子発現やタンパク質の活性をどのように制御しているのか、間葉系前駆細胞、骨芽細胞や軟骨細胞の培養系を用いて解析を行っております。

発生・組織学/口腔解剖学

分野紹介

私たちの研究室はミクロの世界を対象にしています。顕微鏡を使うと自ずと細かなところに関心が至ります。科学研究には元来そうした傾向がありますが、時にそれが科学の瑣末化(細分化ばかりで帰納できない状態)とされます。陥りがちだからこそ、社会や日常への還元、実学・実益が叫ばれます。けれども、当研究室では、発生(ひとつの細胞から私たちのからだへ)と進化(惑星地球の寿命に匹敵する綿々たる継承)という2つの視点を堅持してミクロの形態と向い合っています。多細胞生物は細胞から成るにあらず、細胞と細胞外マトリックスから成ります。細胞外マトリックスは細胞にとっては周囲環境ですが、これを内部に取り込んだ細胞社会が我々のからだです。細胞外マトリックスの研究では、そこに暮らす人々(細胞)を踏まえ、築城や都市計画としての細胞外マトリックスを探究することで、その世界(私たちのからだ)の構造と仕組みを解き明かしていきます。

口腔生理学/生理学

分野紹介

主な研究テ-マ
  • 異常疼痛発症の神経機構に関する研究

    各種疼痛モデル動物や遺伝子改変マウスの末梢および中枢神経系の神経細胞に関して、イオンチャネルや各種受容体の分子動態とその情報伝達様式の多様性について解析している。

  • 痛覚の認知機構に関する研究

    痛覚弁別課題を訓練した覚醒サルの三叉神経支配領域に生じる痛覚が、中枢神経系でどのように認知されるのかについて解析している。

  • 感覚神経の回路形成機構に関する研究

    ショウジョウバエを用いて、各種感覚の神経回路がどのように形成されているのかについて、細胞接着分子を中心に解析している。

研究内容

“痛み”は生体にとってなくてはならない感覚であるが、炎症や腫瘍といった様々な原因によりしばしば難治性の異常な痛みを引き起こすことがある。当講座では、この異常な痛みの末梢および中枢神経における発症機構の解明を目的に、様々な研究手法を用いて網羅的に研究を推進し、さらに、得られた研究成果を臨床へ応用することを目指している。
また当講座の特色として、大学院生をはじめとする若い研究者に対し、研究成果を国内外の学会で発表する機会を与えている。特に大学院生に対しては、在学中に少なくとも1度以上、国際学会に参加するチャンスがあり、またトロント大学、メリーランド大学、ミネソタ大学やピッツバーグ大学など国外の様々な大学への留学を奨励している。さらに得られた研究成果を海外の一流学術雑誌に筆頭著者として発表することを目標とする。

歯科薬理学/薬理学

分野紹介

薬理学講座では、口腔および顎顔面領域の感覚機能が脳によってどのように制御されているのかを解明することを目指しています。そのため、薬理学の枠組みにとどまらず、形態学、生理学、分子生物学を含む神経科学の幅広い視点から研究を展開しています。

特に、大脳皮質の一領域である島皮質(insula)に着目し、痛覚および味覚情報がどのように受容・統合・処理されるのかを明らかにする研究を進めています。単一神経細胞から神経回路、さらには個体レベルに至るまでを対象とした階層縦断的アプローチを採用し、パッチクランプ法、光学計測、分子生物学的手法などの先端技術を駆使して、感覚情報処理の神経基盤の解明に取り組んでいます。

また、本研究は国内外の研究機関との連携のもとで推進されており、現在、米国University of North Carolina at Chapel Hill、韓国慶北大学、福島医科大学、兵庫医科大学、長崎大学、同志社大学、東北大学との共同研究を積極的に展開しています。これらの研究活動を通じて、口腔・顎顔面領域の感覚異常や慢性疼痛の病態解明に貢献するとともに、新たな治療戦略の創出につながる基礎的知見の蓄積を目指しています。

口腔外科学

分野紹介

研究内容
  • 実験動物において顎下腺の萎縮および再生過程の組織学的精査や、基底膜主要構成分子やその受容体分子の免疫組織化学的検索を行っている。また、サイトカイン、ケモカインを網羅的に解析し、そのメカニズムを検討している。さらに、唾液腺において膜に作用し分泌に関与し、生体防御因子としても注目されているsPLA2について解析を行っている。
  • 5-Aminolevulinic Acid を用いた光線力学療法を口腔領域の前癌病変や外方性増殖癌に応用するための基礎的研究を行っている。
  • 骨膜・骨髄幹細胞を用いて組織工学技術を応用した顎骨再建用再生骨の開発と、テトラポッド型人工骨の再建材料としての臨床応用に向け、実験動物における骨形成過程の経時的観察、免疫組織化学的検索、骨再生時に発現するRNAやタンパク質の分析や造成骨機械的強度の検討を行っている。
  • 顎矯正手術および腫瘍切除に伴う再建手術後の機能回復について、videofluorographyなどを用いた咀嚼嚥下動態変化の臨床研究を行っている。
  • 口腔癌の浸潤転移機構を解明するために、子宮筋腫組織片と株化癌細胞を用いて、遺伝子発現やタンパク発現をRT-PCR法やウェスタンブロット法、免疫染色を用いて検討している。
  • 口腔常在菌として知られるCandidaは、食道カンジダ症、肺カンジダ症および誤嚥性肺炎の原因であり、その菌種には複数あることが知られている。細胞診で得られた検体からCandida属の菌種の特定を遺伝子増幅法により検討している。
  • 口腔癌により発症する難治性異常疼痛の機序を解明する為、Vcにおけるマイクログリア上のP2Y12受容体に着目し研究を行っている。

歯科矯正学

分野紹介

歯科矯正治療は、不正咬合患者の顎や歯という素材を再構築し、口腔の正常な形態と機能を回復する極めて重要な治療です。しかし一方で、長期にわたる治療期間や移動時の疼痛、歯肉退縮や歯根吸収といった種々の課題(デメリット)も存在します。当研究室では、これらの問題点を改善し、より高度な矯正治療を発展させるために、多角的なアプローチから研究を行っています。

1. 基礎的研究
メカニカルストレスに対する歯周組織細胞や破骨細胞の応答、およびその加齢変化の解明を目指しています。さらに、低出力レーザーによる骨形成促進作用や、多分化能を有する脱分化脂肪細胞からの骨組織誘導など、実験動物や培養細胞を用いた分子生物学的検討を推進しています。
2. 力学的・材料的研究
実験モデルを構築し、ストレインゲージや有限要素法を応用したシミュレーションにより、矯正力が歯列弓や歯へ与える影響を力学的に検証しています。あわせて、矯正材料の物理的性状の改変と、その臨床応用についても研究を行っています。
3. 臨床的研究
矯正用アンカースクリューの最適な植立条件の検討や、下顎偏位を伴う顎変形症患者における最適な手術法の選択基準の確立など、実践的な研究を展開しています。
私たちは、これらの基礎・臨床研究を有機的に結合させ、日々の成果を実際の医療現場へ還元するトランスレーショナルリサーチへの発展を目指しています。

歯科麻酔学

分野紹介

歯科麻酔学講座では、全身麻酔に使用する麻酔薬や麻薬性鎮痛薬の高次中枢における作用メカニズムについての基礎研究を、薬理学講座と共同で行っています。麻酔薬により脳でいったい何が起こり、どのようにして無意識状態が作り出されるのかを解明することは、意識や睡眠といった難解ながらも根源的なテーマを扱うものであり、麻酔科学だけでなく神経科学の分野でも重要な知見をもたらします。また、歯科口腔外科領域の全身麻酔において、痛みがなくクオリティの高い麻酔のためには、麻薬性鎮痛薬はなくてはならないものである一方、副作用も強く、より安全な麻酔のために、麻薬性鎮痛薬の詳細な作用メカニズムの解明はとても重要です。
これらの研究の成果は、国内外の学会で発表を行い、定評のある国際誌に投稿します。希望者は研究と並行して歯科麻酔臨床業務や一般歯科診療も行うことができ、とても充実した大学院生活を送ることができます。