口腔構造機能学分野

この分野は、顎顔面口腔領域を中心に、当該分野の構造、機能、外科的侵襲、全身管理、歯列、咬合の矯正などについて、専門分野のみならず境界領域の研究をも推進することが可能となっています。
解剖学
分野紹介

当講座では、歯周組織および骨組織の再生医療への応用を目指し、組織修復機構ならびに間葉系幹細胞の分化制御機構に関する研究を行っています。これらの研究成果を基盤として、新たな再生医療技術や治療法の開発につながる研究を推進しています。
主な研究テーマは、(1)骨欠損修復の分子メカニズムの解明と骨欠損治療法の開発、(2)間葉系幹細胞の分化と老化関連因子の役割の解明、(3)歯周組織における骨芽細胞と破骨細胞によるクロストークの解析を行っています。また、歯の矯正移動における分子メカニズムを解明するため、歯科矯正治療時に誘導される生理活性物質と骨免疫学的機構との関連についても研究しています。遺伝子改変動物や遺伝子導入細胞を用いた分子生物学的手法を取り入れ、特定の遺伝子変異に伴う組織・細胞レベルでの形態変化の解析に加え、関連因子や遺伝子の発現解析、さらにはシグナル伝達機構の解明を試みています。
解剖学という領域にとらわれることなく、分子生物学的な手法を駆使して、幅広い研究を展開しています。臨床分野との連携を通じて、歯科医療の発展と新たな再生医療の実現に貢献することを目標としています。
発生・組織学/口腔解剖学
分野紹介

私たちの研究室はミクロの世界を対象にしています。顕微鏡を使うと自ずと細かなところに関心が至ります。科学研究には元来そうした傾向がありますが、時にそれが科学の瑣末化(細分化ばかりで帰納できない状態)とされます。陥りがちだからこそ、社会や日常への還元、実学・実益が叫ばれます。けれども、当研究室では、発生(ひとつの細胞から私たちのからだへ)と進化(惑星地球の寿命に匹敵する綿々たる継承)という2つの視点を堅持してミクロの形態と向い合っています。多細胞生物は細胞から成るにあらず、細胞と細胞外マトリックスから成ります。細胞外マトリックスは細胞にとっては周囲環境ですが、これを内部に取り込んだ細胞社会が我々のからだです。細胞外マトリックスの研究では、そこに暮らす人々(細胞)を踏まえ、築城や都市計画としての細胞外マトリックスを探究することで、その世界(私たちのからだ)の構造と仕組みを解き明かしていきます。
口腔生理学/生理学
分野紹介

- 主な研究テ-マ
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異常疼痛発症の神経機構に関する研究
各種疼痛モデル動物や遺伝子改変マウスの末梢および中枢神経系の神経細胞に関して、イオンチャネルや各種受容体の分子動態とその情報伝達様式の多様性について解析している。
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痛覚の認知機構に関する研究
痛覚弁別課題を訓練した覚醒サルの三叉神経支配領域に生じる痛覚が、中枢神経系でどのように認知されるのかについて解析している。
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感覚神経の回路形成機構に関する研究
ショウジョウバエを用いて、各種感覚の神経回路がどのように形成されているのかについて、細胞接着分子を中心に解析している。
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異常疼痛発症の神経機構に関する研究
- 研究内容
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“痛み”は生体にとってなくてはならない感覚であるが、炎症や腫瘍といった様々な原因によりしばしば難治性の異常な痛みを引き起こすことがある。当講座では、この異常な痛みの末梢および中枢神経における発症機構の解明を目的に、様々な研究手法を用いて網羅的に研究を推進し、さらに、得られた研究成果を臨床へ応用することを目指している。
また当講座の特色として、大学院生をはじめとする若い研究者に対し、研究成果を国内外の学会で発表する機会を与えている。特に大学院生に対しては、在学中に少なくとも1度以上、国際学会に参加するチャンスがあり、またトロント大学、メリーランド大学、ミネソタ大学やピッツバーグ大学など国外の様々な大学への留学を奨励している。さらに得られた研究成果を海外の一流学術雑誌に筆頭著者として発表することを目標とする。
歯科薬理学/薬理学
分野紹介

薬理学講座では、口腔および顎顔面領域の感覚機能が脳によってどのように制御されているのかを解明することを目指しています。そのため、薬理学の枠組みにとどまらず、形態学、生理学、分子生物学を含む神経科学の幅広い視点から研究を展開しています。
特に、大脳皮質の一領域である島皮質(insula)に着目し、痛覚および味覚情報がどのように受容・統合・処理されるのかを明らかにする研究を進めています。単一神経細胞から神経回路、さらには個体レベルに至るまでを対象とした階層縦断的アプローチを採用し、パッチクランプ法、光学計測、分子生物学的手法などの先端技術を駆使して、感覚情報処理の神経基盤の解明に取り組んでいます。
また、本研究は国内外の研究機関との連携のもとで推進されており、現在、米国University of North Carolina at Chapel Hill、韓国慶北大学、福島医科大学、兵庫医科大学、長崎大学、同志社大学、東北大学との共同研究を積極的に展開しています。これらの研究活動を通じて、口腔・顎顔面領域の感覚異常や慢性疼痛の病態解明に貢献するとともに、新たな治療戦略の創出につながる基礎的知見の蓄積を目指しています。
口腔外科学
分野紹介

顎顔面領域の疾患を対象として、炎症・免疫学、感染症学、口腔機能学および臨床疫学を基盤とした研究を推進する。臨床研究に加え、基礎系講座との連携のもと、分子生物学的解析、細胞培養、次世代シークエンス解析、動物実験など多様な研究手法を活用し、病態解明と診断・治療法の発展に資する研究を行う。
- 核内IL-1αによる核小体機能制御
IL-1αの核内移行が核小体におけるsnoRNA発現およびリボソーム生合成に及ぼす影響を解析し、炎症応答と細胞機能を結ぶ新たな分子機構を解明する。炎症性サイトカインの新たな細胞内機能に着目した基礎研究である。 - 歯周病原細菌由来短鎖脂肪酸とマクロファージ制御
歯周病原細菌が産生する短鎖脂肪酸がマクロファージ機能に及ぼす影響を解析し、歯周炎における炎症応答制御機構との関連性も検討する。自然免疫と口腔感染症との関わりに着目した研究である。 - 集中治療患者に対する口腔ケアの有効性
集中治療室に入室した患者を対象として、口腔ケア前後の細菌叢および炎症関連因子の変化を解析し、人工呼吸器関連肺炎や誤嚥性肺炎の予防における口腔ケアの有効性を検証する。医科歯科連携による臨床研究である。 - 下歯槽神経再生とマクロファージ
ラット下歯槽神経損傷モデルを用いて、神経再生過程におけるマクロファージの役割を解析する。炎症応答と組織修復との関連を明らかにし、末梢神経損傷後の治癒機転について検討する。
本講座では、臨床検体を用いた研究から基礎的解析、臨床研究まで幅広い研究活動を展開している。学内外の研究者との連携のもと、口腔外科領域における新たな知見の創出と研究成果の臨床応用を推進する。
歯科矯正学
分野紹介

歯科矯正治療は、不正咬合患者の顎や歯という素材を再構築し、口腔の正常な形態と機能を回復する極めて重要な治療です。しかし一方で、長期にわたる治療期間や移動時の疼痛、歯肉退縮や歯根吸収といった種々の課題(デメリット)も存在します。当研究室では、これらの問題点を改善し、より高度な矯正治療を発展させるために、多角的なアプローチから研究を行っています。
- 1. 基礎的研究
- メカニカルストレスに対する歯周組織細胞や破骨細胞の応答、およびその加齢変化の解明を目指しています。さらに、低出力レーザーによる骨形成促進作用や、多分化能を有する脱分化脂肪細胞からの骨組織誘導など、実験動物や培養細胞を用いた分子生物学的検討を推進しています。
- 2. 力学的・材料的研究
- 実験モデルを構築し、ストレインゲージや有限要素法を応用したシミュレーションにより、矯正力が歯列弓や歯へ与える影響を力学的に検証しています。あわせて、矯正材料の物理的性状の改変と、その臨床応用についても研究を行っています。
- 3. 臨床的研究
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矯正用アンカースクリューの最適な植立条件の検討や、下顎偏位を伴う顎変形症患者における最適な手術法の選択基準の確立など、実践的な研究を展開しています。
私たちは、これらの基礎・臨床研究を有機的に結合させ、日々の成果を実際の医療現場へ還元するトランスレーショナルリサーチへの発展を目指しています。
歯科麻酔学
分野紹介

歯科麻酔学講座では、全身麻酔に使用する麻酔薬や麻薬性鎮痛薬の高次中枢における作用メカニズムについての基礎研究を、薬理学講座と共同で行っています。麻酔薬により脳でいったい何が起こり、どのようにして無意識状態が作り出されるのかを解明することは、意識や睡眠といった難解ながらも根源的なテーマを扱うものであり、麻酔科学だけでなく神経科学の分野でも重要な知見をもたらします。また、歯科口腔外科領域の全身麻酔において、痛みがなくクオリティの高い麻酔のためには、麻薬性鎮痛薬はなくてはならないものである一方、副作用も強く、より安全な麻酔のために、麻薬性鎮痛薬の詳細な作用メカニズムの解明はとても重要です。
これらの研究の成果は、国内外の学会で発表を行い、定評のある国際誌に投稿します。希望者は研究と並行して歯科麻酔臨床業務や一般歯科診療も行うことができ、とても充実した大学院生活を送ることができます。