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2023年度

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉〈下〉

ファインマン,リチャード P.【著】/大貫 昌子【訳】(岩波書店・2000)

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推薦者 篠崎 貴弘 専任講師(口腔内科学講座)

僕が高校生の頃,科学の発展に憧れていたときに手にした本です。ファインマンは,朝永振一郎と共に量子電磁力学発展の功績により1965 年ノーベル物理学賞を受賞,その後ロスアラモス研究所でマンハッタン計画に参画した人です。(マンハッタン計画に関しては,日本人として複雑な心境ですが。)

ノーベル賞受賞者,物理学者と聞くとガチガチの理論家,勤勉家と思いきや,数々のユーモア一杯のエピソードが語られ,とても興味深い人物像に引き込まれます。いたずらや少年期のラジオ修理,金庫破り,アリ研究などすべての興味対象が探求心の塊で,自分で検証・確認しないと信じられない所など,本物の研究者気質です。一方,それは発達障害かなと思えるエピソードも多々あります。

教育者としての面では,『学生たちを「教える」ということが,僕の生命をつないでくれるものだと思っている。誰かが僕に,授業をしないでいいという安楽な地位をわざわざ作り出してくれたとしても,僕は絶対にそんなものをありがたく受けようとは思わない。絶対に!』という言葉から研究者としてだけでなく,熱意ある教育者としての一面もあり,我々大学人として興味深く読めます。